世界最高峰の時計ブランド、パテックフィリップ。
その中でも絶大な人気を誇るノーチラスですが、インターネット上では「パテックフィリップのノーチラスはダサい」という意外な評判を目にすることがあります。
なぜ高い評価を受ける一方で、このような意見が存在するのでしょうか。
その背景には、一見シンプルに見えるデザインの奥深さや、そもそも何年待ちでも手に入らないほどの希少性、そして多くの芸能人が愛用する理由が隠されています。
また、似てると言われる他の高級時計との比較も、評価が分かれる一因かもしれません。
この記事では、ノーチラスが「ダサい」と言われる理由を徹底的に掘り下げ、その真の価値と魅力に迫ります。
チェックリスト
- ノーチラスが「ダサい」と言われる具体的な理由
- モデルが廃盤になった背景と現在の入手方法
- 定価と、価格が高騰している本当のワケ
- 愛用者や似ているモデルから見るノーチラスの立ち位置
パテックフィリップのノーチラスはダサい?評判の真相

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- ノーチラスはなぜ高いのか、その理由
- ノーチラスの昔の定価
- 正規店では一体何年待ちだったのか
- ノーチラスは廃盤?
ノーチラスはなぜ高いのか、その理由

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パテックフィリップのノーチラスが、なぜ一般的な高級時計の価格帯を遥かに超える評価を受けるのか。
その理由は、単に「高級だから」という一言では片付けられません。背景には、「ブランドの格」「卓越した技術力」「圧倒的な希少性」という、三位一体となった確固たる価値が存在します。
1. 世界の頂点に立つ「ブランドの格」
まず、パテックフィリップはオーデマピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンと共に「世界三大時計ブランド」と称される、時計界の頂点に君臨する存在です。
1839年の創業以来、一度も途切れることなく独立経営を続けてきた歴史は、他のブランドとは一線を画す絶対的な価値を持っています。
王侯貴族や歴史的な偉人たちに愛されてきたという事実は、単なる製品以上の「文化遺産」としての風格を与えているのです。
2. 品質を追求する「卓越した技術力」
次に、優れた技術力を持つ「マニファクチュール」であることが挙げられます。
これは、時計の心臓部であるムーブメントの設計から製造、組み立て、そして外装の仕上げに至るまで、ほぼ全ての工程を自社で一貫して行うことができるメーカーを指し、品質の高さを象徴しています。
さらに、パテックフィリップは2009年より、一般的な品質規格である「ジュネーブ・シール」よりもさらに厳格な独自の品質基準「パテックフィリップ・シール」を全ての機械式時計に適用しています。
この基準は、ムーブメントの精度だけでなく、ケースや文字盤、針といった外装部品の仕上げ、そして最終的な時計全体の品質までをも保証するもので、その美しさと信頼性は他の追随を許しません。
世代を超えて受け継がれる時計
パテックフィリップは「永久修理」を保証しており、創業以来製造したすべての時計を修理できる体制を整えています。
「父から子へ、世代から世代へ」という有名な広告キャンペーンは、単なるキャッチコピーではなく、ブランドの哲学そのものを表しているのです。
3. 価値の源泉となる「圧倒的な希少性」
そして最も大きな理由が、その希少性です。
パテックフィリップは利益よりも品質を最優先するため、全体の年間生産本数が約6万本程度と言われています。
これは、年間100万本以上を製造するとされるロレックスなどと比較しても極端に少ない数字です。
熟練の職人が一つ一つ手作業で仕上げるため、大量生産が物理的に不可能なのです。
特にノーチラスのような人気モデルは、世界中の需要に対して供給が全く追いついていない状況が長年続いており、これが中古市場での価格高騰の直接的な原因となっています。
近年では世界的な経済不安から、富裕層が安全資産として高級時計を求める動きも加速し、その希少価値に拍車をかけています。
ノーチラスの昔の定価

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現在、中古市場では新車の高級車を超えるほどの高値で取引されているノーチラスですが、生産されていた頃の正規店での定価は一体いくらだったのでしょうか。
市場を牽引した代表モデル「Ref.5711/1A-010」(ステンレススティール/ブルー文字盤)を例に見てみましょう。
このモデルは、生産が終了する直前の2021年時点での国内定価が3,872,000円(税込)でした。もちろん高価な時計であることに間違いはありませんが、現在の市場価格を考えると、驚くほど現実的な価格に感じられます。
しかし、そのわずか数年前の2018年時点では、定価は3,326,400円(税込)であり、人気が高まる中でも比較的緩やかな価格改定に留まっていたことが分かります。
この「定価」と「実勢価格」の間に生じた巨大な乖離こそが、ノーチラスがいかに異常な人気を博していたかを如実に物語っています。
定価で手に入れることは「幸運」以外の何物でもなく、多くの時計ファンがその権利を得るために何年も待ち続けました。
この状況が、二次流通市場の価格をさらに押し上げる要因となったのです。
ノーチラス Ref.5711/1A-010の価格比較
| 項目 | 価格(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 2018年時点の国内定価 | 3,326,400円 | 価格改定前の参考価格 |
| 2021年時点の最終定価 | 3,872,000円 | 生産終了直前の価格 |
| 現在の中古市場価格(目安) | 約2,000万円〜 | 定価の5倍以上に高騰 |
正規店では一体何年待ちだったのか

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ノーチラスの入手困難さを象徴するのが、正規販売店での「待ち時間」でした。
生産が継続されていた当時、もし幸運にも正規店で予約リストに名前を載せることができたとしても、一般的に「8年から10年待ち」というのが通説でした。
しかし、これはあくまで「予約できた場合」の話です。
現実には、世界中のほとんどの正規店で新規の予約受付を完全に中止しており、ウェイティングリスト(予約顧客名簿)に新たに名前を加えること自体が不可能に近い状況でした。
この背景には、ブランドの世界観を深く理解し、長年愛用してくれる顧客を優先したいというパテックフィリップの販売戦略があります。
一部では、ブランドとの長年の付き合いがある顧客や、他の高額な複雑時計などを多数購入している「上顧客」でなければ、ノーチラスの予約リストに載ることすら許されない、と言われていました。
これは、短期的な利益を目的とした転売を防ぎ、本当にブランドを愛する人の手に時計を届けたいというメーカー側の強い意志の表れでもあったのです。
ウェイティングリストの厳しい現実
たとえ10年待ったとしても、手に入る保証はどこにもありませんでした。
実際、予約待ちの間に社会情勢や為替の変動で価格が大幅に改定されたり、今回のように突然モデルが生産終了になってしまったりと、長く待ち続けたにもかかわらず、最終的に入手できなかったという悲しいケースも少なくありませんでした。
ノーチラスは廃盤?

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結論から言うと、時計市場を熱狂させた最も象徴的なノーチラスのモデルは廃盤(生産終了)となっています。
特に絶大な人気を誇ったステンレススティール製のシンプルな3針モデル「Ref.5711/1A」は、ファンの間で衝撃と憶測が飛び交う中、段階的にその歴史に幕を下ろしました。
まず2020年に比較的流通量が少なかったホワイト文字盤がカタログから消えました。
続いて2021年、ブランドの顔とも言えるブルー文字盤の生産終了が当時のティエリー・スターンCEOから正式に発表され、市場はパニック状態に陥ります。
その後、2021年のみの限定生産として発表されたグリーン文字盤モデルと、アメリカの宝飾品ブランド「ティファニー」との170年にわたるパートナーシップを記念したティファニーブルー文字盤モデルが、5711/1A系のフィナーレを飾りました。
そして、かろうじて生産が続いていたローズゴールド製のモデルも2022年に生産終了となり、Ref.5711系は完全に廃盤となったのです。
伝説となったティファニーブルーモデル
170本限定で発売されたティファニーブルー文字盤のノーチラスは、そのうちの1本がフィリップス社のオークションに出品され、手数料込みで約650万ドル(当時のレートで約7億3500万円)という驚異的な価格で落札されました。
ブルームバーグの報道によると、この収益は全額が環境保護団体に寄付されたことも大きな話題となりました。
ただし、重要な注意点として、「ノーチラス」というコレクション自体が消滅したわけではありません。
年次カレンダーやクロノグラフといった複雑機構を搭載したモデルや、レディースモデルなどは現在もラインナップされています。
しかし、多くの人が「ノーチラス」と聞いてイメージする、ジェラルド・ジェンタのデザイン哲学を最も純粋に受け継いだシンプルなモデルは、現在新品で購入することはできなくなっています。
パテックフィリップのノーチラスがダサいと言われる実態

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ここまでノーチラスの圧倒的な価値と人気について解説してきましたが、それでもなぜ一部で「ダサい」という評価が存在するのでしょうか。
ここからは、その評判がどのような文脈で語られるのか、着用者やデザイン、そして人々の価値観といった多角的な視点から、その実態を深掘りしていきます。
- ノーチラスを愛用する芸能人とは
- ノーチラスに似てる時計との比較
- 時計好きと一般人での評価の違い
- 年齢層によって評価は変わるのか
ノーチラスを愛用する芸能人とは

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ノーチラスが持つ特別な地位は、それを愛用する人々の顔ぶれによっても裏付けられています。
国内外を問わず、各界で頂点を極めた多くの芸能人やセレブリティが、その腕にノーチラスを選んでいます。
海外では、アカデミー賞俳優であるレオナルド・ディカプリオさんやブラッド・ピットさん、世界的なミュージシャンであるジャスティン・ビーバーさんやジェイ・Zさんなどが愛用者として有名です。
彼らが公式の場やプライベートで着用する姿は、ノーチラスが単なる時計ではなく、成功と洗練を象徴する究極のステータスシンボルであることを世界に示しています。
日本国内に目を向けても、その傾向は変わりません。
人気お笑いコンビ・バナナマンの設楽統さんは、テレビ番組などでさりげなく着用しており、そのセンスの良さが話題になることもあります。
また、若い世代から絶大な支持を集めるロックバンドUVERworldのボーカル・TAKUYA∞さんなど、独自のスタイルを持つファッションアイコンたちにも選ばれています。
このように、各界の第一線で活躍する成功者がこぞってノーチラスを選ぶという事実は、「ダサい」という評価がいかに一面的なものであるかを示しています。
それは、見る人が見れば一目でその価値がわかる、真の成功者のための時計と言えるのかもしれません。
彼らがノーチラスを選ぶのは、単に高価だからという理由だけではないでしょう。
流行に左右されない普遍的なデザイン、スーツにもカジュアルにも合う汎用性、そして何よりその背景にあるブランドの哲学に共感しているからこそだと考えられます。
ノーチラスに似てる時計との比較

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ノーチラスのデザインが「ダサい」と感じるかどうかを考える上で、比較対象として必ず名前が挙がるのが、オーデマピゲの「ロイヤルオーク」です。
それもそのはず、この二つの伝説的な時計は、20世紀最高の時計デザイナーと称されるジェラルド・ジェンタ氏によってデザインされた、いわば兄弟のような存在だからです。
1972年にロイヤルオークが、そして1976年にノーチラスが発表され、共に「ラグジュアリースポーツウォッチ」という、それまで存在しなかった新しいジャンルを時計界に確立しました。
この2本に、ヴァシュロン・コンスタンタンの「オーバーシーズ」を加えて「世界三大ラグジュアリースポーツウォッチ」と称されることも多く、それぞれのデザインには明確な個性があります。
三大ラグジュアリースポーツウォッチ比較
| ブランド | モデル名 | 発表年 | デザインの特徴 | 与える印象 |
|---|---|---|---|---|
| オーデマピゲ | ロイヤルオーク | 1972年 | ビス留めされた八角形のベゼル、タペストリー模様の文字盤 | 力強い、男性的、先進的 |
| パテックフィリップ | ノーチラス | 1976年 | 船の舷窓がモチーフの丸みを帯びた八角形、水平エンボス文字盤 | エレガント、中性的、洗練 |
| ヴァシュロン・コンスタンタン | オーバーシーズ | 1996年 | マルタ十字がモチーフのベゼル、ストラップ交換が容易 | スポーティー、実用的、旅 |
「ノーチラスはシンプルすぎてダサい」と感じる人の中には、よりエッジが効いていて分かりやすいデザインのロイヤルオークを好む傾向があるかもしれません。
しかし、これは優劣の問題ではなく、どちらのデザイン哲学に共感するかという、個人の美学や感性の違いに他なりません。
ノーチラスの持つ、控えめでありながらも唯一無二の洗練されたフォルムは、時を超えて多くの人々を魅了し続けているのです。
時計好きと一般人での評価の違い
「パテックフィリップのノーチラスはダサい」という評価が生まれる最も根源的な要因、それは時計に深い知識を持つ人と、そうでない人との間に存在する、巨大な「価値観のギャップ」です。
時計愛好家や専門家にとって、ノーチラスの価値は表面的なデザインだけに留まりません。
彼らは、以下のような、目には見えにくい内面的な価値を総合的に評価します。
ブランドの歴史と哲学:180年以上にわたる時計作りの伝統と革新の物語。
技術的な洗練:手作業で painstakingly 仕上げられたムーブメントの芸術性や、薄型でありながら高い防水性を実現したケース構造の巧妙さ。
卓越した仕上げ:ケースからブレスレットのコマ一つ一つに至るまで、サテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせた、息をのむほど美しい仕上げ。
資産価値:生産終了による希少性から生まれる、安定した資産としての側面。
彼らにとってノーチラスは、身に着ける芸術品であり、知的な探求の対象であり、そして世代を超えて受け継がれるべき文化遺産なのです。
一方で、時計にそれほど関心がない一般の人々から見ると、評価の基準は主に「見た目のデザイン」や「分かりやすい豪華さ」、「価格とのバランス」になりがちです。
そのため、金やダイヤモンドで装飾されているわけでもないシンプルなステンレス製の時計が、なぜ数千万円もするのか直感的に理解することが難しく、「価格不相応で地味」「成金趣味でダサい」といった、ある種のアレルギー反応にも似た感想を抱きやすくなるのです。
この評価の乖離は「知識の非対称性」から生まれます。
ノーチラスの価値は、その背景を知ることで初めて理解できる部分が大きく、その知識がない状態での評価が「ダサい」という言葉に繋がっていると言えるでしょう。
年齢層によって評価は変わるのか

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ノーチラスに対する評価や印象は、世代間の価値観の違いによっても変わる傾向が見られます。
一般的に、若年層は時計を自己表現のためのファッションアイテムとして捉えることが多く、SNSなどで映えるようなトレンド感やデザインの斬新さ、一目でブランドが分かるような分かりやすいインパクトを重視します。
この視点から見ると、ノーチラスの持つクラシックで普遍的なデザインは、時に「古臭い」「おじさん世代の時計」「地味で魅力がわからない」と映ってしまう可能性があります。
逆に、様々な経験を重ねて本質的な価値を見極めるようになる年配層の方々は、時計に対して一過性の流行ではなく、伝統や格式、そして永く愛用できる普遍的な価値を求めるようになります。
そのため、パテックフィリップが持つ奥深い歴史や揺るぎないステータス性、そして流行に左右されない洗練の極みともいえるデザインを、「上品」「本物の価値が分かる大人の選択」「究極の上がり時計」として高く評価する傾向にあります。
パテックフィリップの有名な広告哲学に「You never actually own a Patek Philippe. You merely look after it for the next generation.(あなたはパテックフィリップを所有するのではない。次の世代のために預かっているだけなのだ)」という言葉があります。
この世代を超えて価値を受け継ぐという概念は、年配層には深く響く一方で、若年層にはまだ実感しにくい価値観かもしれません。この点も、世代間の評価の違いを生む一因と言えそうです。
時計そのものの魅力だけでなく、着用者の年齢や社会的地位、そして人生観といった要素が複雑に絡み合い、ノーチラスの評価を形成しているのです。
実際に、若者がノーチラスを着けていると「分不相応に見える」「偽物ではないかと疑ってしまう」といった辛辣な意見も聞かれます。
時計そのものだけでなく、着用者の品格やライフスタイルが伴って初めて魅力が引き出される、まさに「人を選ぶ時計」なのかもしれませんね。
総括:パテックフィリップのノーチラスはダサいのか?
この記事の結論として、ノーチラスに関する様々な評価をまとめます。
- 「ダサい」という評価は一部に確かに存在する
- 主な理由はシンプルな見た目と超高額な価格とのギャップ
- 時計に関する知識の深さによって評価が大きく分かれる
- 若い世代にはクラシックなデザインの魅力が伝わりにくいことがある
- 世界三大時計ブランドとしての圧倒的なステータスを持つ
- 全ての部品を自社で製造するマニファクチュールとしての高い技術力
- 年間生産数が極端に少なく、その希少性が価値を高めている
- 最も象徴的なモデルRef.5711系は現在、生産終了となっている
- 正規店での新品購入は不可能で、入手は中古市場に限られる
- 中古価格は定価を何倍も上回るプレミア価格で推移している
- 国内外の多くの成功者や芸能人が愛用するステータスの象徴である
- オーデマピゲのロイヤルオークは同じデザイナーが手掛けた比較対象
- 「ダサい」か「洗練されている」かは最終的に個人の価値観や美意識に委ねられる
- 時計の背景にある歴史や哲学を理解することで、その真の魅力が見えてくる
- 結論として「ノーチラスがダサい」という意見は、その価値の一側面しか見ていない評価と言える